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シンポジウム「グローバリズムとローカリズムの相克を超えて」を開催
(株式会社アルク主催/日本みらいキャピタル共催)

2017.06.05

当社が運営するファンドの投資先、株式会社アルク(語学学習教材の制作・販売、出版事業、教育研修事業等)とともに、シンポジウム「グローバリズムとローカリズムの相克を超えて―“地方創生事例”からコミュニケーション、言語、教育を考える」を開催いたしました。会場には、自治体や大学をはじめ、地方創生や教育等にかかわる多くの方々にお越しいただきました。

シンポジウム開会にあたり、田村明比古観光庁長官より、兵庫県を縦断視察された際の、丹波篠山における古民家再生の事例を交えた来賓挨拶をいただきました。 続いて第1部では、平田オリザさん(劇作家・演出家、兵庫県豊岡市文化政策担当参与等)に、「小さな世界都市 ― 豊岡市の挑戦」と題した講演をいただきました。豊岡市では、ふるさと、英語、コミュニケーションの3つを教育における重点項目としていますが、特徴的なのはグローバルを意識した取り組みです。平田さんが芸術監督を務める豊岡市の「城崎国際アートセンター(KIAC)」には、昨年も世界15ヵ国40団体からの利用申し込みがあり、2014年のオープン以来、高い稼働率を実現しています。 豊岡市では、滞在費をとらない代わりに、無料公演や学校でのワークショップを義務づけるなど、KIACが地方活性化と文化・教育の両面で有効活用されています。平田さんは、子供の時から本物の文化・芸術に触れ、多様なコミュニケーションを体験する場(身体的文化資本)を提供することが、地方(ローカル)にこそ必要だと語られました。

第2部では、「コミュニケーション、言語、教育を考える」をテーマに、安嶋の司会のもと、平田さん、明石康さん(元国連事務次長)、青谷優子さん(フリーバイリンガルアナウンサー、朗読家)によるパネルディスカッションが行われました。明石さんからは、国連では英語以外が母国語のスタッフが多く働いており、言葉の形式にとらわれすぎず、お互いの文化を尊重し理解しようとすることが大切だったとのお話がありました。イギリスで幼少期を過ごした青谷さんは、英語ができるようになっても、自分で理解できていないことは発言することが難しかった経験を語ってくださいました。 平田さんは、ご自身の戯曲が海外で演じられる理由の一つに、異文化への興味があるとの見方を示されました。皆様に共通していたのは、「言葉」を学ぶということは相手の「文化」を学ぶこと、そのためには「対話」を通じたコミュニケーションを重ね、多様性や変化をいとわないことが大切だということです。

多様性を育むために学生時代に何ができるか、グローバル人材として日本人である自分とどう対峙するかなど、会場の皆様とも活発な質疑応答の時間を共有しました。

ご登壇いただきました平田さん、明石さん、青谷さん、ご来臨の全ての参加者の方々に改めて御礼申し上げます。

>平田オリザ氏 青年団ウェブサイト http://www.seinendan.org/hirata-oriza
>青谷優子氏 オフィシャルウェブサイト http://yukoaotani.jp/

写真:横関一浩

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